世界の果てに - 百年の光 -
通信機を受け取ったオーガは、苦笑しながら話を続けた。
「…さて。次はどこを探すかだな…早くも囚人達が脱走して暴れてることは衛兵に伝わってるから、うまくかわしていかないと」
「うーん…そうだよね」
オーガの言葉に賛同したそばから、バタバタと騒がしい足音が廊下から聞こえてくる。
この混乱に乗じて、リオたちを探すことはできるけど…城内の警備が厳しくなることは確かだ。
「そういえば…国王は王の間にいるの?」
オレの問いに、オーガは眉を寄せて首を横に振った。
「それが、いるはずなのにいなかった。国王が部屋にいない場合、フィオから連絡が入るはずだったんだけど…」
「そのフィオってやつもいないんだな」
ため息をつきながら、エルがオーガの言葉の続きを予想した。見事に当たったようで、オーガが頷く。
「…最悪の仮説を立てると、フィオが疑われて捕まり、俺たちの作戦もバレている、ってとこだな」
「うわぁ、それは最悪だね」
「アスティ。お前が言うと緊迫感の欠片もねぇな」
「ひどいよエル、言葉の暴力」
「…お前ら、どっちもどっちだぞ」
オーガは呆れたため息と共に肩を落とすと、胸ポケットから丁寧に折り畳まれた城内図を取り出した。
「夕刻までは余裕があると思ってたけど…正直、時間の猶予がどのくらいあるか分からない。効率的に探さないと」
ザッと広げた地図を、オーガが険しい表情で見る。