世界の果てに - 百年の光 -
何が起きたのか分からなかったけど、水の中ではなく地上にいることと、国王の姿があることはすぐに理解した。
「…覚えておくといい。私は、ある程度の魔術なら扱える」
「………っ」
「まぁ、余計なモノまで連れてきてしまったがな」
ため息と共に国王がそう言った視線の先には、あたしと同じように倒れ込むエルとアスティの姿。
ゆっくりと起き上がったエルは、鋭く国王を睨んだ。
「…てめぇが首謀者か」
国王相手にする言葉遣いじゃないけど、国王本人は特に気にも止めずエルを見据えている。
「君たちは誰だ?…まさか、彼奴の友人か」
あいつ、が示すのはきっとオーガだ。入り口の方を振り返ると、オーガは架け橋の上で立ち止まったまま、目の前に見えない壁があるのか、拳で叩いている。
「別に友人でも何でもねぇよ。…ただ、取り返すもんが一緒なだけだ」
そう答えたエルは、あたしを庇うように前に出た。
不覚にも、そんなエルの行動にドキンと心臓が高鳴る。
「…リオ、動かないで」
いつの間にか立ち上がっていたアスティが、あたしの背後に回る。両手を縛っていた縄が解け、自由を取り戻した。
「ありがとう…アスティ」
「うん。お礼なら後でいくらでも、ね」
こんな時でも、アスティは楽しそうにウインクをした。それが可笑しくて、緊張がほぐれる。
やっぱりあたしは、いつだって二人に助けられてばっかりだ。