世界の果てに - 百年の光 -
長剣を構えたあたしを、国王は表情を変えることなく見ていた。
「…勝てると思うのか?君は」
「勝てるよ。オレたちもいるから」
あたしより先に、左隣にいたアスティが、当然のようにそう答える。
すると、少し前にいたはずのエルが、気づけばあたしの右隣で剣を構えていた。
「……信じろ、自分を。ーーー俺たちを」
ーーーああ。もう、この二人は。
いつだって…あたしに、勇気をくれる。
「三対一か。…正式な決闘ではないな」
国王がゆっくりと黒剣を構えながら呟いた言葉に、エルは鼻で笑ってみせた。
「生憎、俺たちは正義の味方でも何でもない。ルール無用の盗賊だからな」
「…ほう。なら、牢に連れていくまでだ」
国王の紺の瞳が細められたかと思えば、次の瞬間、前方から光の矢が放たれた。
「………っ!」
瞬きする間もないくらいだったのに、エルとアスティはあたしを庇うように立っていて、光の矢を剣で弾き返していた。
国王の瞳は、驚きから僅かに揺れる。けれど、すぐに次の光の矢が四方から襲いかかってきた。
「ぼけっとしてんな、ちびっこ!」
華麗な剣捌きで地面を舞うエルが、吼えるようにあたしを呼ぶ。
その場で立ち竦んでいたあたしを、今度はアスティが呼んだ。