世界の果てに - 百年の光 -

あたしだけが一気に駆け出しても、国王と剣を交えることなく魔術にやられちゃうだろうし…かといって三人で一斉に向かうのも、今の防戦一方のままじゃ難しい。


どうしよう、何とかして近付かないと…!


目の前に飛んできた光を、何とか剣で弾き返した時だった。



ーーーーー『壊して…』



「……え?」


突然聞こえた、か細い声に動きが止まる。


「おい、ぼけっとしてんなっつったろ!」


背後から響く、エルの声。でも不思議な声が聞こえたのは、エルのもっと後ろからーーー…


振り返ったあたしの目に映ったのは、"神の祭壇"。…いやでも、まさか。


「おいちびっこ!聞こえてんのか!?」


「リオ?」


「…エル、アスティ、ごめん」


あたしは小さくそう答えて、祭壇に向かって駆け出した。


気のせいかもしれない。光の矢が飛び交う音が、言葉に聞こえたのかもしれない。


…それでも、あの祭壇を壊さなきゃと、強く沸き上がる何かがあった。



そう離れていなかった祭壇を目の前にし、あたしは剣を持つ腕に力を込める。


頭上にから一気に振り下ろした刃は、祭壇を捉えることはなかった。

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