世界の果てに - 百年の光 -

いつの間に、現れたのか。

あたしの剣を受け止めたのは、国王が持つ黒剣だった。


「…無駄だ。古代の魔術がかけられたこの祭壇は、私でさえ壊すことは出来ない」


「………っ!」


キィン、と金属が奏でる嫌な音と共に、剣が弾き返される。


その反動でよろけながらも、あたしは剣を構え直した。


「なら…っ、何で止めたの…!」


「私と君との戦いだろう。これ以上、余計な真似はさせるつもりはない」


国王はそう言うと、剣を持たない左手をスッとあげ、あたしの後ろを指差した。


つられて振り返ると、そこにはーーー


「……エル!アスティ!」


苦しそうに咳き込み、床に倒れる二人の姿があった。


何が起きたのかは分からない。けど、あたしの行動が二人を傷つけたとしたら…


「………っ、」


今すぐにでも、エルとアスティのもとへ駆け付けたい。そう思いながらも、唇を噛み締めて前を向く。


「ようやく、私と戦う気になったか?」


「……あなたと戦う気なんて、最初からないっ…!」


「なら何故、剣を構える必要が有る」


射るようなその視線に、全身に緊張が走る。あたし一人でこの人に敵うなんて思わない。思わないけど。


「あたしは…あたしの為に、剣を構えてる」


あたしが諦めたら全てが終わってしまうことくらい、分かってる。

< 577 / 616 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop