世界の果てに - 百年の光 -
いつの間に、現れたのか。
あたしの剣を受け止めたのは、国王が持つ黒剣だった。
「…無駄だ。古代の魔術がかけられたこの祭壇は、私でさえ壊すことは出来ない」
「………っ!」
キィン、と金属が奏でる嫌な音と共に、剣が弾き返される。
その反動でよろけながらも、あたしは剣を構え直した。
「なら…っ、何で止めたの…!」
「私と君との戦いだろう。これ以上、余計な真似はさせるつもりはない」
国王はそう言うと、剣を持たない左手をスッとあげ、あたしの後ろを指差した。
つられて振り返ると、そこにはーーー
「……エル!アスティ!」
苦しそうに咳き込み、床に倒れる二人の姿があった。
何が起きたのかは分からない。けど、あたしの行動が二人を傷つけたとしたら…
「………っ、」
今すぐにでも、エルとアスティのもとへ駆け付けたい。そう思いながらも、唇を噛み締めて前を向く。
「ようやく、私と戦う気になったか?」
「……あなたと戦う気なんて、最初からないっ…!」
「なら何故、剣を構える必要が有る」
射るようなその視線に、全身に緊張が走る。あたし一人でこの人に敵うなんて思わない。思わないけど。
「あたしは…あたしの為に、剣を構えてる」
あたしが諦めたら全てが終わってしまうことくらい、分かってる。