世界の果てに - 百年の光 -
すぐにその姿があたしとの距離を縮め、刃が振り下ろされた。
「………っ!」
一瞬の出来事に目を見張りながらも、反射的に右に避けることが出来た。
次いで襲ってくる刃を、自分の剣で受け止める。
「……どうしてっ…!」
「頭では君の言葉が正しいと分かっていても…、私には…失いたくないものがあるからだ…!」
初めて見せた、国王の必死な姿。その理由が分からずに、あたしは剣を押し返すことしか出来ない。
それでも力の差は歴然で、このままじゃ…!
ーーーーー『壊して…お願い…』
「ーーーーー…!」
また微かに聞こえた声に、あたしの力が緩む。その隙を突かれ、あたしの体は地面に強く叩きつけられた。
「ちびっこ…!」
「リオ…!」
ほとんど同時に響いた、エルとアスティの苦しそうな声。
一瞬呼吸を忘れたあたしの体は、勢い良く咳き込んで空気を求めた。
「…げほっ…、うっ…」
ゆっくりと顔を上げると、あたしを見下ろす国王と、狙いを定めた剣が黒く光る。
ーーー動け…、動け、あたしの体…!