世界の果てに - 百年の光 -
容赦なくあたしを狙ってきた刃を、何とか体を反らしてかわした。
少し右腕が裂けたけど、痛みを気にする間もなく体を起こし、一気に剣を振り下ろす。
国王ではなくーーー"神の祭壇"を目掛けて。
「ーーーーー!!」
あたしの剣は、祭壇にぶつかると目映い光を放ち、何の抵抗もなく祭壇を両断した。
こんなに簡単に壊せると思わず、ぱちくりと瞬きを繰り返したあたしの耳に届いたのは、確かな声。
ーーーーー『ありがとう…』
その声を聞いて、間違った行動ではなかったことに安堵する。けど、突如大きな地響きがこの部屋を襲った。
「…な、何!?」
床の振動に立っていられず、その場に崩れ落ちる。パラパラと頭上から落ちる何かの破片に顔を上げれば、天井にヒビが広がっていた。
「ーーーリオ!!」
背中を押され、何が起きたか分からない内に、あたしの体はエルの腕にすっぽりと収まっていた。
「…エ、エル…?」
「……っぶね、おい、早く逃げねぇと生き埋めになるぞ」
今さっきまであたしが倒れていた場所には、天井の瓦礫が落ちてきていた。
「な、何が起きて…」
「知るか。お前の行動を問いただしたいくらいだが…ひとまず後回しだ。アスティ!」
エルが呼ぶと、未だ鳴り止まない地響きのせいで、足元が覚束ないアスティがふらふらと近付いて来る。