世界の果てに - 百年の光 -
「リオ、大丈夫?エルの平衡感覚がおかしくて良かったね」
「おい。バカにしてんのか」
「褒めてるんだよ。こんな足元が揺れてるのに走れてすごいなーって」
…こんな場面でも、いつも通りな二人がすごい。
そんなエルとアスティの影響か、少し心の余裕が出来た時、右腕に激痛が走った。
「いっ…、」
「バカ、動かすな。相当ざっくり斬られてんぞ」
エルがそう言って腕を支えようとしてくれるけど、ちょっと待って近い。痛みよりも心臓が危ない…!
「あ、あたしは大丈夫だからっ…」
何とかエルから離れようとするあたしの目に映ったものに、思わず言葉を失った。
あたしがいた場所に落ちていた、瓦礫の破片の下。そこにはーーー……
「ジェイル国王…!?」
「おい、バカ!」
エルの制止を聞かず、揺れる足場を駆けて国王に近付く。下半身は瓦礫の下敷きになっていて、国王は上半身を起こすとあたしを見た。
「……世界は、君に味方したようだな…」
「何言って…、もしかしてあたしを庇って…?」
エルの腕に包まれる前、何かに背中を押されたことを思い出す。国王は肯定も否定もせず、フッと微笑んだ。
国王がゆっくりと伸ばした手が、あたしの右手に持つ長剣を掴む。
「この世界と…オーガを、頼む」
国王はそう言うと、自らの胸に刃を突き立てたーーー…