世界の果てに - 百年の光 -
∴終結と、結論と
「……え…?」
ガラガラと崩れ落ちる天井の音が、あたしのか細い声を掻き消す。
右手に掴んでいた剣は、あたしの腕から流れる血で赤く染まっていた。…そしてその刃は、国王の胸を貫いていて。
状況を飲み込む前に、ぐっと体を引かれた。
「……出るぞ、ここから」
エルの声がやけに静かに届いたけど、あたしは動けなかった。
「…何で…どうして…?」
ティアラが言っていたことが本当なら、この剣で国王の命を奪ったあたしは、生け贄にならずにこの世界を救えたことになる。
それでも、どうして、という想いが駆け巡る。
「もっと他に…方法があったはずでしょ…?誰も犠牲にならない方法を探せたでしょ…!?」
「おい、やめろ!」
ぐったりと倒れたままの国王を、あたしはただ、涙で歪んでいく視界から見ることしか出来ない。
「!」
一際大きく足場が揺れ、天井だけでなく壁も崩れ始めた。
あたしを覗き込むようにして、アスティが優しく微笑む。
「…リオ。今はとにかく、ここを出よう。この世界の為に犠牲になった国王の命を、無駄にしない為にも」
「アスティ…」
あたしはきゅっと唇を結んで、心の中で謝ってから国王の胸を貫く剣を引き抜いた。