世界の果てに - 百年の光 -
エルがあたしの手から剣を奪い、鞘に納めてくれる。
「……行くぞ」
特に慰めの言葉を言うわけでもなく。それでもエルの優しさは表情から伝わってきて、あたしは頷いた。
「オーガも一緒に…」
そこで橋を振り返って、息を飲む。瓦礫に埋もれ、崩壊されている橋は、あたしたちの出口への逃げ道を完全に封鎖していた。
「リオ、大丈夫。オレたちが倒れてる時に、この広間からオーガが出るのを見たから。助けを呼びにいってくれてると思うんだけど…」
アスティがそう答えてくれて、ひとまずオーガの無事には安心したけど…この状況は、非常にまずい。
出口へと繋がる唯一の橋は使えない。泳いでいくことも、二人がいれば大丈夫だけど…天井からはガラガラと破片が落ちてきていて、水中で身動きが取れなかったらアウト。
幸いなことに、あたしたちの真上の天井は何とか持ちこたえているけど…至る所にヒビが入ってるし、時間の問題だ。
「迷ってる暇はねぇぞ。出口の扉が壊れる前に、泳いで渡るしかない」
「…うん、それしか…」
エルの提案に頷きかけたとき、下から突き上げるような揺れが起きる。
そして今度の大きい揺れは継続的で、建物全体が崩れていくような嫌な音が鳴り響いていた。
「………っ、」
動くことすら難しい状況で、不安だけが増す中、突然目の前に二つの影が現れた。
「ーーーみなさん!無事ですか!?」
険しい顔でそう言ったのはーーーフィオだった。