世界の果てに - 百年の光 -
もう一人は、初めて見る女の子。フィオと同じようなローブを纏っているから、魔術師だと思うけど…
突然現れた二人の姿に、あたしたちは言葉を失って反応が遅れた。
「………フィオ…?」
「リオさん!事は一刻を争いますので、説明はあとでします!僕の腕を掴んで下さい!」
地下牢での弱々しかった表情とは一転し、ハッキリとした口調のフィオは頼りがいがあった。
フィオはエルにも自分に掴まるように指示したあと、アスティに声を掛ける。
「アスティさんは、そこにいるマーサに掴まって下さい!」
「え?マーサって…」
…クリスだよね!?と言おうとしたあたしより早く、フィオは複雑な呪文を唱え始め、体が不思議な感覚に包まれる。
崩れ落ちる瓦礫の間から最後に見えたのは、口元に笑みを浮かべた、国王の姿だったーーー。
…どさっ、という鈍い音と共に、地面に尻餅をつく。
目を開けると、"神の祭壇"があった建物が崩壊していく様子が飛び込んできた。
「ーーーーー…」
どのくらい時間が経ったのか、建物が完全に崩れ落ち、地響きが鳴りやんだ頃。ようやくあたしは視線を周囲へ移した。
エル、アスティ、フィオーーーマーサ。みんな同じような表情をして遠くを見つめていたけど、一番最初に口を開いたのはフィオだった。
「……リオさん…ありがとう、ございました」
涙が滲む瞳を細めて、フィオはあたしに向かって微笑む。