世界の果てに - 百年の光 -
「…国王は…最後にあたしに言ってた」
「ん?」
「この世界と…オーガを頼む、って」
あたしの言葉に、オーガは一瞬瞠目し、すぐにははっと笑う。
「俺を頼むって…何だよそれ」
「…ジェイル陛下は、オーガ様のことを誰よりも心配なさってましたよ」
声のした方を振り返れば、フィオが優しく微笑んでいた。その後ろに、エル、アスティ、マーサが立っている。
「オーガ様が付けている、ブレスレットも…居場所を調べろと言われたことは一度もありません。ただ、オーガ様が無茶をしないような足枷にしたいと仰っていました」
「……もういい、フィオ。今更何を言われても、俺は文句ひとつ言えないんだから」
オーガは瞳を細めると、肩に担いでいた国王をそっと地面に降ろす。
「息子の俺にできることは…ちゃんと葬ってやることと、親父が護ったこの国を、今度は俺が護ることだけだ」
「………はい。オーガ様…いえ、オーガ陛下」
フィオが恭しくお辞儀をすると、オーガが照れ臭そうに笑う。そんな光景を見て、あたしは少しだけ心が軽くなった。
その時、遠くから声と共にバタバタと走る音が近付いて来る。
「……リオー!!」
「!?」
徐々に近付いてきた人影は三つ。リュウさんに、ダルク…そして、ユーリだ。