世界の果てに - 百年の光 -
息を切らしながら走ってきたユーリは、あたしの前で立ち止まると、険しい表情で口を開いた。
「リオ!大丈夫なの!?生きてる!?全部終わったの!?世界はどうなったの!?」
「ゆ、ユーリ…」
「ユーリ、リオびっくりしてるから」
ダルクにそう言われ、ユーリはハッとして声のトーンを落とした。
「ご、ごめん。つい…」
「ううん、心配してくれてありがとうユーリ。…それに、ユーリが無事で良かった」
見たところ、ユーリに目立つ外傷はなかった。一緒に来たってことは、リュウさんとダルクに助けて貰ったんだと思う。
「あたしのことはいいの!それより、ここで何が起きたか教えてくれる?」
「あ、えっとね…」
何から説明したらいいか分からず、取り合えず開きかけたあたしの口は、エルの手のひらに塞がれていた。
驚いて目を丸くするあたしに、エルは琥珀色の瞳を向ける。
「…今はやめとけ。もう充分疲労が溜まってんだろ。それに早く腕のソレどうにかしねぇと」
エルが指す腕のソレ、は国王に斬られた傷のこと。いつの間にか血は止まっていたけど、改めて見るとかなり痛々しく、痛みを感じないのは腕が痺れているからだと気付く。
「しっかり休め、バカ」
「………エル…」
「……おい、大丈夫か…おいっ!」
エルの不器用な優しさにホッとしたからか、急に意識が遠退いていくのを感じた。
終わったんだーーー生きてて、いいんだ。