世界の果てに - 百年の光 -
「リオが倒れたあと、今回の件に関わったみんなで話を整理して、大体の状況は把握してるよ。あとはリオと国王だけの時間が空白だけど…オレたちの予想だと、きっと国王は無言だっただろうねって」
「…うん。当たりだよ。ただ…」
あたしは、祭壇に連れていかれる間に見せた、国王の表情を思い出した。
「ただ…国王も、あたしたちと同じように世界と戦ってた」
国王の考えは、もう誰にも分からない。それでも、この世界…それに、オーガが国王にとって何よりも大切だったんだと、確かに感じた。
「…オーガは、大丈夫?」
思わずそう訊ねると、アスティは困ったように微笑んだ。
「あのあと、式典は中止になったんだ。城内の混乱と、国民の混乱を収めるのにオーガは手一杯だった。オレたちの存在はまだ隠していた方がいいからって、何も手伝えなくて…」
でも、とアスティが言葉を続ける。
「次の日、オーガは国全体に全てを話した。何一つ、真実を隠すことなく。その時のオーガの表情は、もう一国を担う王そのものだったよ」
「…その話を、国の人は…」
「信じられなかった人もいるだろうね。…でも、オーガの国を想う気持ちが、伝わらなかった人はいないと思うよ」
だからリオが気負う必要ないんだよ、とアスティはあたしの頭を優しく撫でてくれた。
その温もりにホッとしたけど、胸の奥で燻る感情は、完全に消え去ってはくれない。
「オーガ様は今、兄さんと共に城内のケアされています。リュウさん、ダルクさん、ユーリさんも手伝っていますよ」
マーサはそう言って、リオさんはゆっくり休んでください、と微笑む。