世界の果てに - 百年の光 -
全てが終わり、気を失って倒れてから三日。
すぐに医者に治療してもらい、クリス…じゃなかった、マーサが付きっきりで看病しているが、まだ目覚めない。ついでにマーサに付きっきりのアスティも看病に加わっている。
俺ができることは何も無く、ただこうして月夜に祈るだけ。…祈るなんて柄じゃねぇけど。
「………早く起きろ、バカ」
そう呟いたのと、俺がいる屋上の扉が開かれたのは、ほぼ同時だった。
驚いて振り返ると、そこにいた人物は俺を睨み付けて口を開く。
「〜エル!やっと見つけた!」
息を切らし、ずかずかと近付いて来るのは、今さっき俺がバカ呼ばわりした相手。
「……は?」
突然の登場に面食らったら俺は、何とも情けない声を漏らす。
「アスティから高いところって言われたけど、この城大きいし屋上の入口たくさんあるんだもん。せめてどこ行くか誰かに伝えてってよね!」
「…俺は子供か。っていうか…」
怒りからか、どさっと俺の隣に腰掛けるちびっこは、どう見ても元気そうだ。
「お前、いつ…?」
「目が覚めたのは…一時間くらい前かな。アスティとマーサと話して、エル探してたから」
…アスティの野郎。ちびっこが起きたら、ダルクの通信機で連絡寄越せっつったのに。
はー、と大きいため息をつくと、ちびっこが隣でフッと笑った。
「…ごめんね、心配かけて」
肩にかかる黒髪が、夜風に攫われる様子が、やけにゆっくりと感じた。