世界の果てに - 百年の光 -
さっきから、一言も言葉を発しない二人。でも、その表情は穏やかで、あたしの行動を見守ってくれているように思える。
…本当は、離れたくない気持ちが、これ以上大きくならないうちに帰りたかったけど。
最後までこの世界で楽しんでみたいって、素直にそう感じることができた。
「…よし!決めたっ」
あたしはぐっと拳を握ると、この部屋にいる一人一人の顔を見てから笑いかけた。
「今日の夜まで、とことん楽しんでから帰ります!」
*
一歩外に出れば、そこはまるで夢の国のようだった。
青空へ高らかに響くファンファーレ。見えない音を彩るように、鮮やかに舞う花吹雪。
様々な出店が囲む大通りを、楽しそうに笑顔を浮かべて歩く人々。
この国へ到着したときに行われていた式典とは、また違った雰囲気だった。…もちろん、あたしの感じ方もあの時とは違う。
「おい」
「痛っ!」
せっかく最後のこの世界の光景を噛みしめていたというのに、エルが頭を叩いてきた。
「〜もう、何!?人が感傷に浸ってるときに!」
頭をおさえながらキッと睨むと、エルはあろうことか鼻で笑う。
「間抜けヅラしてただけだったぞ」
「んな!?」
オマケに気分を逆撫でするようなことまで言ってきた。