世界の果てに - 百年の光 -
「いやー、楽しんで貰ったようで何より!」
ケラケラと笑うオーガの方が楽しそう。一日中歩き回ってへとへとなあたしたちは、そんな感想を抱いた。
「皆さん、こちらへ」
オーガの隣で控えていたフィオが、あたしたちをソファへ促す。
疲れきった足を動かし、ふかふかなソファに腰を下ろした瞬間、思わず声が漏れた。
「ああー、疲れたぁー…楽しかったけど」
「あはは、見事にぐったりだな」
「オーガ、馬車とか貸してくれれば良かったのに」
「いやいや、即通行止めになるから」
「ちっ、使えねぇな」
「いやいやいや、舌打ちとか国王にする?」
くだらない談笑をしながらも、時計の針は刻一刻と進んでいく。
屋台で美味しいものを食べたり、音楽に合わせて国民と一緒に踊ったり。今日の楽しかった時間を、言葉にして笑い合った。
そして、ちらりと時計を見上げたフィオが、椅子からゆっくりと立ち上がる。
「……リオさん、少しいいですか?」
その言葉に、部屋の和やかな雰囲気が途絶えたのが分かった。それでも、あたしは小さく頷いてフィオについて部屋を出る。
昼間の華やかな空気とは打って変わって、城内は薄明かりに照らされ、静かな落ち着いた空気が漂っていた。
扉が閉まると同時に、フィオが口を開く。
「すみませんリオさん、そのブレスレット、外し忘れていました」
「えっ?」
そういえば、と思って視線を落とすと、左腕に光るブレスレットが目に入る。