世界の果てに - 百年の光 -
不気味なほど静かな通りを、あたしたちは早足で進んだ。
本当にこんな場所にエルがいるのかと、疑いかけたそのとき。
「―――うわああああぁぁッ!!」
誰かの悲鳴と、何かが壊れる大きな音が響いた。
「………!」
あたしとアスティは顔を見合わせると、声がする方へ走った。
「な、何すんだテメェッ!」
「そりゃこっちのセリフだ!クリスを返せ!」
だんだんと近付いてくる声。
片方は間違いなく、エルの声だ。
やがて、地面に倒れている人、手綱を引っ張られているクリス、すぐそばに立つエルが目に入った。
「―――エル!」
名前を呼ぶと、エルは琥珀色の瞳をこっちに向けた。
「遅ぇんだよ、ちびっこ」
「んなッ!これでも全速力でっ…」
「これがクリス盗んだひと?」
アスティに指差された男は、ひぃっと悲鳴をあげて身体を縮めた。