世界の果てに - 百年の光 -
いとも簡単に緩んだ涙腺は、あたしの力ではどうしようもできず、ポロポロと涙を溢した。
「…おい」
「ご、ごめっ…、わ、笑ってさよならしたかったのにっ…」
次から次へと溢れる涙を、あたしは一生懸命手の甲で拭う。それでも、今まで必死に考えないようにしていた感情が、大きな渦となって全身を巡った。
悲しい、つらい、苦しい。
その感情をまとめたら、出る言葉はたったのひとつ。
「ーーーみんなと、もっと一緒にいたかった…!」
一緒に笑って、一緒に乗り越えて。今日まで過ごした一日一日は、あたしの宝物だ。
その宝物を増やしていきたかったけど…あたしの居るべき場所は、ここじゃないんだ。
大切な家族が、友達が居る場所が、あたしの帰るべき場所ーーー…
「バーカ」
「!?」
パチン、とおでこを叩かれ、自然と俯いていた顔を上げれば、真剣なエルの表情が目に入る。
「まだ終わりじゃねぇだろ、俺達は」
…ああ、そうだ。エルの自信に満ちた瞳が、言葉が。
いつもあたしを、安心させてくれるんだ。
「…うん」
涙を乱暴に拭ってそう答えると、エルは満足したように口角を持ち上げた。
「フィオ、マーサ、お願い」
あたしの合図で、二人は頷くと、複雑な呪文を唱え始めた。足元に描かれた魔方陣が輝き、あたしの体は光に包まれる。
「みんなーーーまたね!」
最後に目に映ったのは、大好きなみんなの笑顔だった。