世界の果てに - 百年の光 -
エル、アスティ、あたしへと視線を移すと、男は震える唇を開いた。
「お…俺は盗賊だ!馬を盗んで、何が悪い!」
男がぐいっと手綱を引くと、クリスは悲しげに鳴いた。
ムッとしてあたしが口を開くより先に、エルがバカにしたように笑った。
「へえ?奇遇だな。俺たちも盗賊なんだ」
「なッ…、」
「盗まれたら奪い返す。それが盗賊ってもんだろ?」
エルがゆっくりと、腰の剣を抜いた。
その切っ先が、不気味に光る。
「う…うう奪われたものは、潔く諦めるのが男ってもんだろ!」
男もエルに対抗するかのように、短剣を抜いた。
けど剣を握る手は震えていて、明らかに戦い慣れしていないように思えた。
「…そう思うか?アスティ」
「ううん。諦めたら終わりだよね」
エルの問いに、アスティも二本の剣を抜いた。
男はそれを見ると、また小さく悲鳴をあげた。
そして、恐怖が映った表情をあたしに向けた。