世界の果てに - 百年の光 -

「お、お嬢ちゃん!お嬢ちゃんは俺の味方だよな?」


あたしは黙って男を見てから、隣のクリスに目を移す。


悲しげに揺れた瞳が、真っ直ぐにあたしを捉えた。


「…クリスは、あなたじゃ嫌だって言ってる」


あたしの答えに、エルとアスティが笑った。


「はは!…だってさ?盗賊サン」


「クリス、返してもらうよ」


男の顔はますます青くなり、瞳は目まぐるしく、あたしたちとクリスの間を行き来していた。


やがて、勝てないと判断したのか、


「ちっ、畜生!覚えてろよっ!!」


…と捨て台詞を吐いて、男は一目散に逃げ出して行った。


すぐにアスティは剣を腰に収め、クリスへと駆け寄った。


「大丈夫?クリス」


「ヒヒン…」


クリスはアスティに身体を寄せ、嬉しそうな顔をしていた。


「…よかった」


ホッとため息をつくと、エルがあたしを見て「そう言えば、」と口を開いた。

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