世界の果てに - 百年の光 -
「お前、声がどうとか言ってなかったか?」
「あ、うん。あたしてっきり、クリスがしゃべったのかと思ったんだけど…」
ちらりとクリスを見ると、アスティとじゃれていた。
ヒヒン、と馬の声が聞こえるだけで、人の言葉には聞こえない。
「…やっぱり気のせいかも」
あはは、とエルに笑いかけた瞬間。
『―――気のせいではありません』
また、あの声が響いた。
「………!」
驚いて、再びクリスを振り返ると、間違いなくあたしを見ていた。
「どうした?ちびっこ」
エルの言葉が聞こえたけど、あたしはじっとクリスを見た。
するとまた、脳に直接語りかけてくるように声が響く。
『助けていただいて、ありがとうございました』
「やっぱり、しゃべれるの…?」
「あん?お前何言って…」
あたしは走って、クリスに近づく。
クリスを撫でていたアスティが、どうしたの?と首を傾げた。