世界の果てに - 百年の光 -

黙って聞いていた二人は、あたしが話し終えると、それぞれの思いを口にした。


「…馬の言葉が分かるなんて、すごいね。リオ」


「クリスが人間、ねぇ…」


エルの言葉に、クリスはヒヒンと鳴いた。


どうやらあたし以外に話しかけている言葉は、馬語(って言うのもどうかと思うけど)にしか聞こえないみたい。


「ねぇクリス、どうして馬にされちゃったの?…っていうか、本名は?」


『名前はいいんです。クリスが気に入っていますから。…魔術をかけられたのは、話せば長くなります』


頭を垂らすクリスは、すごく悲しそうに見えた。


「話したくないならいいんだよ!魔術をかけたやつを取っ捕まえればいいだけだし」


『リオさん…』


あたしがぐっと拳を握ると、横からエルの呆れた声が聞こえた。


「んな簡単に言うな。そいつがどこの誰かも分かんねぇのに」


「それは…クリス、誰だか分かる?」


あたしの問いに、クリスは首を横に振る。

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