世界の果てに - 百年の光 -
『…いいえ。残念ながら、顔は見ていません』
「そっか…」
黙り込んだあたしの頭を、アスティがポンと撫でた。
「焦る気持ちは分かるけど、落ち着いて。地道に進んでいけば、きっと答えに辿り着くよ」
「アスティ…」
柔らかく微笑んだアスティに、じーんと心が熱くなる。
そうだ。あたしには、仲間がいる。
いつかきっと、解決策が見つかって、元の世界に帰れるんだ。
「俺はこれ以上、厄介事が増えなきゃ別にいい」
そう言ったエルの口元は、僅かに笑っている。
何だかんだ言いつつも、エルはあたしに協力してくれてるんだよね。
「…よし!クリスが人間に戻れるように、あたしが元の世界に帰れるように!魔術師を探し出さなきゃ!」
気合いを入れるために、両頬を手のひらでパシンと叩く。
不安はないと言ったら嘘になる。
それでも、この先にある希望を信じて。
―――出口を探す旅は、まだ始まったばかり。