世界の果てに - 百年の光 -
じっと床を見つめるその瞳は、何かを悲しんでいるように見える。
「…申し訳ありません。早急に探し出します」
フィオの言葉に、ジェイルは何も言わずに立ち上がった。
ジェイルが座っていた椅子の装飾が、朝日に照らされて輝いている。
「…彼奴の力を、借りねばならんな」
そう呟くと、ジェイルはバルコニーへと続く大きな窓の前で立ち止まった。
フィオはそこで顔を上げ、窓の外を眺めるジェイルを見ると、首を傾げた。
「…あいつ、ですか?」
「そうだ。彼奴―――オーガを、呼べ」
オーガ、という名前を聞いて、フィオはすぐにはピンとこなかった。
数秒経って、それが誰を指すのかを理解する。
「分かりました、陛下」
フィオは恭しくお辞儀をすると、踵を返して部屋を出た。
オーガ王子…ジェイル陛下の息子でありながら、自由に旅を続けている人。
―――彼が、あの黒髪の少女を見つけてくれるかもしれない。