世界の果てに - 百年の光 -
急に腕の力が強まったかと思うと、男は短剣を振り上げた。
「そんなに死にたいなら、お望み通り殺ってやんよ!」
本気でやばいと思った瞬間、空を斬る音と共に、あたしの体は解放されていた。
振り返ると、大の字に伸びた男の姿。
いつの間にかあたしの隣にいたエルが、赤く染まった長剣を鞘に収めた。
「…ったく、敵キレさせてどーすんだアホ」
ありがとう、という感謝の言葉は、その一言で瞬時に消え去った。
「あたしのせい!?エルのせいでしょ!」
「あん?人のせいにしてんじゃねえよ」
「ねえお二人さん。とりあえず、この人たちどうする?」
アスティが指差す先には、気絶している山賊たち。
実はというと、このやり取りも三回目で…
「決まってんだろ。身ぐるみ剥ぐぞ」
…エルのこの答えも、三回目だった。
十分後、お金や食糧を全て奪っ…頂いたあたしたちは、クリスが引く荷台に乗せ、再び歩き出した。