世界の果てに - 百年の光 -
二人だけだったら、こんな山道、すぐ抜けられるはずなのに。
あたしに合わせてくれて、気を遣ってくれて。
それでもあたしを見捨てずに、この途方もない旅に付き合ってくれている。
あたしには、文句を言える資格はない。
そんな優しい言葉を、かけてもらえる資格なんてないのに…
「ぴーぴー泣くな鬱陶しい!」
エルに頭を掴まれ、あたしは無理やりエルと向き合わされた。
すごい剣幕で睨まれ、あたしは声も出せずに鼻を啜った。
「お前がそんなんじゃ、先が思いやられるだろ!」
「………っ」
「お前は俺たちを信頼してんのか!? してねぇのか!?」
もう一度鼻を啜ると、あたしはゆっくりと唇を動かした。
「……し、して、る」
そう答えると、エルがほんの少しだけ口角を持ち上げた。
「―――なら、黙ってついてこいよ」
敵わないなぁ、と思った。
きっとこの二人に、あたしは一生かかっても敵わない。