世界の果てに - 百年の光 -
あたしにもう少し、賢い頭があったら良かったのに…。
「―――オレが、エルを巻き込んだんだよ」
ポツリと呟かれた言葉は、闇夜に映えるように響いた。
その瞳に吸い込まれてしまいそうで、言葉が出ない。
「エルは昔から…優しいから」
「……そっ、か」
こんなときに、気の利いた言葉が言えない自分が嫌になる。
それでもアスティは、あたしに優しく微笑んだ。
「リオも優しいよね。遠慮なんか、しなくていいのに」
「…だって…悲しそうな顔、してたから」
「あはは、バレた?」
あたしの言葉に肯定すると、アスティは横目でエルを捉えた。
自分の話題になっているとも知らずに、エルは豪快にいびきをかいて寝ている。
「エルは…オレと出会ったときから盗賊だったよ」
でも、とアスティは続ける。
「その経緯は知ってるけど…オレが話すのは、違う気がする」
「…うん」