世界の果てに - 百年の光 -
アスティの見せた表情は、言葉は、きっとエルも関係している。
だからこそ、エルの過去はあたしが直接訊かなきゃいけないと思う。
…でも、アスティは?
「エルの方が、先に盗賊だったんだよね?ならなんで、アスティが巻き込んだなんて…」
「うーん、上手く話せないけど…オレがエルの人生を変えちゃった気がするんだ」
あたしは訳がわからずに首を傾げる。
「エルには、そのとき盗賊を辞めるって道もあったから」
少し俯いたアスティの顔を、薪を燃やす炎が照らす。
あたしはアスティを見ながら、口を開いた。
「…でも、エルは盗賊の道を選んだんでしょ?」
アスティの視線が、不意にあたしに向く。
「エルは、アスティを選んだんでしょ?だったら、アスティは何も悪くないよ」
あたしは、二人の生い立ちや過去を、全てどころか全く知らない。
でも、二人の間には、確かに絆が見えた。
嘘偽りなんかじゃない、本物の絆が。