世界の果てに - 百年の光 -
「…話はまとまったか?」
あたしが駆け出したと同時に、山賊の一人が口を開く。
「別に俺たちゃその女に興味があるわけじゃねーし、どうでもいいんだけどな」
口元に笑みを浮かべる山賊を、あたしはクリスの影に隠れながらじっくりと観察した。
別段に体格がいいわけじゃなさそうだし、寧ろエルとアスティより小柄な気がする。
年だって若く見えるけど…何でだろう。怖い。
今までの山賊とは違うって、そう感じた。
「お前には興味ねぇってよ。ちびっこ」
「うううるさいッ!」
エルのバカにしたような笑いに怒りながらも、内心はホッとしていた。
また人質になんかされたら、もう何を呪えばいいのか分からない。
「で?何が目的だ?」
エルの挑戦的な態度に、山賊は笑った。
「簡単なことさ。お前らが昼間奪った山賊の所持品を、全て返してもらいたい」
…昼間の?
ってことは、この山賊たちは…
「俺のバカ兄貴が、世話になったようなんでな」
やっぱり、昼間の山賊の仲間なんだ。