世界の果てに - 百年の光 -
山賊を見据えながら、エルがアスティの名前を呼ぶ。
「今日の戦利品で、目星のあるもんってあったか?」
「んー…なかったと思うけど」
首を傾げるアスティを見ながら、あたしも疑問に思った。
あたしにも戦利品を見せてくれたけど、銅が少しに、僅かの食糧…それに、小さな髪飾りしかなかった。
上着のポケットに、そっと手を入れると、確かにある小さな感覚。
髪飾りはいらないって、二人があたしにくれたんだ。
「俺は、兄貴のモンを取り返したかっただけだぜ?早く寄越せよ」
ニヤニヤと笑う山賊の言うことは、どこか嘘っぽい。
エルはあたしをちらりと見ると、また前に視線を戻して言った。
「おいちびっこ、持ってこい」
「え?」
エルが素直に山賊の言葉に従うとは思えなくて、あたしは間抜けな声を発した。
そんなあたしに、エルが小さく舌打ちする。
「返せば帰るっつってんだから、さっさと持ってこいアホ」
最後の言葉にカチンときたけど、確かに何もしないで帰ってくれるならありがたい。
「クリス、ちょっとごめんね」
あたしは荷台に乗ると、昼間の戦利品を入れた袋を手に取った。