世界の果てに - 百年の光 -
あたしの心臓の鼓動は、どんどん速くなっていく。
「……リオ」
いつの間にか後ろにいたアスティが、あたしの肩に優しく手を置いた。
振り返ると、アスティは微笑む。
「大丈夫。それを返せば、何もされないから」
「アスティ…」
その笑顔に安心して、あたしはポケットから髪飾りをそっと取り出した。
山賊を見ると、ニヤニヤとした表情に戻っていた。
「何だ、やっぱり隠してたんじゃねぇか。さっさと寄越しなお嬢ちゃん」
あたしは一瞬、ぞくりとした何かを感じた。
それが何かを考えないまま、髪飾りを差し出そうとしたとき。
「―――…エル?」
エルの腕が、あたしの行く手を遮るように伸びていた。
横から見るエルの表情は、明らかに怒っている。
ただ、その視線はあたしじゃなくて…山賊に向けられていた。
「…何のつもりだ」
いつもより低いエルの声は、敵対心が剥き出しだった。