世界の果てに - 百年の光 -
それでも懸命に、二人は剣を振るう。
一人、また一人と相手を斬り伏せても、その倍以上の人数が襲いかかる。
「…やだ…やめてよ…」
あたしの訴えは、騒音でかき消されていく。
じわりと熱くなる瞳で、あたしはあるものを見た。
―――震え上がるほど、殺気に満ちた双眸を。
「リオッ!」
それはほんの、一瞬の出来事だった。
瞬きする暇もないくらいで、でもそんな一瞬が、あたしにはスローモーションのように見えた。
真っ直ぐとあたしに向かってきた山賊は、躊躇うことなく刃を空にかざす。
そしてそのまま、振り下ろした。
…あたしの、頭上を目掛けて。
「―――――…!」
身体はすくんで動かず、目を閉じることすらできなかった。
だから、信じられなかったの。
―――目の前に現れた、ふたつの影を。