世界の果てに - 百年の光 -
真っ赤な鮮血が、空を舞う。
「ぐあっ…、」
呻き声と共に、山賊が崩れ落ちていくのが分かった。
見開いたあたしの瞳に映るのは、少し怒ったような顔と、焦ったような顔。
「大丈夫か!?」
「大丈夫?」
エルとアスティを見た瞬間、涙が零れた。
「―――っ、ふ…」
怖いなんて、思う暇もなかった。
そんな僅かな時間に、二人はあたしを助けてくれたんだ。
「だーっ、泣くなッ!」
「だ、だって…エル、ケガ…」
「こんなん掠り傷だっての!」
エルの左肩に縦に付けられた傷は、きっと山賊が振り下ろした刀の跡。
そこからどくどくと流れる血は、決して掠り傷とは言い難かった。
「大丈夫だよ、リオ。エルなら心臓刺されても死なないから」
「どんだけ不死身だ俺は」
二人のやりとりを耳に入れながら、あたしは涙が止まらなかった。
―――死。
一瞬でも感じたこの気配が、忘れられなくて。