Silent City
第二師団第三連隊第一大隊下独立第七小隊隊長室。


漢字が多くて見づらい。


二人とも深く深呼吸した。


「失礼します!」


「あら?」


隊長室の椅子には女性が座っていた。


年齢は一つか二つくらいしか上なはずなのにずいぶんと艶やかな人だ。


「本日付けで第二師団第三連隊第一大隊下独立第七小隊に配属された尾形有志であります」


「同じく本日付けで配属された結城紫央里であります」


女性はパソコンをいじってうなづいた。


「はい、了解。私は中島 結愛【ナカジマ ユア】、この隊の隊長よ」


「はい!」


「そんなに気張らなくて大丈夫よ、それからうちの隊の通称はリリィ隊だから、これからリリィ隊で通じるわよ」


「はい……リリィ隊?」


「私が名付けたのよ、可愛いでしょ」


「はぁ」


「えっと……尾形君と結城君ね……パイロット適性が良いわね」


「あの……この隊は何で戦うんですか?」


「ちょっと長くなるわよ」


「はい」


「まずは君たちが乗るのは複座式のマルチロールファイター機の零式複座型多用途戦闘機、いわゆる零戦【ゼロセン】よ」


中島はパソコンの画像を見せてきた。


零戦は知っている。


第二次世界大戦の日本の主力機だ。


素人目でも当時の零戦より改良されて理にかなった形になっている。


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