Cプロジェクト
男は玄関をでて車に向かった。
凜もそれを追う。
「待って、凜ちゃん!」
喜代の言葉も虚しく、
今の凜には届かない。
だがハッとしたように
凜は一度足を止めた。
「ママは? ママは行かないの?」
男は振り返る。
「お母さんは後で来る。」
ホッとしたのか
また歩きだし、車に乗った。
喜代はただ呆然と見ていた。
車内は無言だった。
運転をする男を
凜は不思議そうに見た。
「おじちゃん名前なんて言うの?」
男はチラッと凜を見た後
また前を向く。
「西条だ。」