昔話
10
あれから一体どれくらいの時が経ったのだろう。
小高い丘に生えていた楡の木の周りには
いつの間にか小さな森ができた。
ああ
これではあの人が私に会い来れないのではないか
と男は思った。
そして同時に
いや
きっともうあの人が私に会いに来ることなどないのだ
とも思った。
けれど、もう、いい
もう、痛みも、苦しみも、悲しみも、怒りも感じない。
きっとそこでなら私はあの人に会いにゆける。
そう息をついて
男は静かに目を閉じた。
小高い丘に生えていた楡の木の周りには
いつの間にか小さな森ができた。
ああ
これではあの人が私に会い来れないのではないか
と男は思った。
そして同時に
いや
きっともうあの人が私に会いに来ることなどないのだ
とも思った。
けれど、もう、いい
もう、痛みも、苦しみも、悲しみも、怒りも感じない。
きっとそこでなら私はあの人に会いにゆける。
そう息をついて
男は静かに目を閉じた。