キミと出逢ったクリスマス

「いらっしゃいませ。ご注文をどうぞ。」

まともに顔が見れない。

「あのさ…俺のこと、覚えてる?」

………。

どういう意味?

なんか、さっきぶつかってしまったことに対して言われている感じが全くしない。

「あの、さきほどぶつかってしまったことなら…。」

ふいに目が合ってしまう。

どくん、どくん。

「そっか。ならいいんだ。」

とても悲しそうな顔で言う。

「カフェラテ、1つお願いします。」

「はい。かしこまりました。」

ペコっと頭を下げて退散する。

なぜか、とてつもない緊張感があり、その糸が切れたようにため息がでてしまった。
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