萌恋!




ドアが開く音が微かに、でも確かに聞こえた。





「おまえ……なにやってんだよ!!」





いつもより焦った顔で私を見ている。





「青沢…来てくれたんだぁ……。」





来てくれた、それだけで嬉しくて意識がはっきりとしないのにも関わらず、笑みがこぼれだした。





「笑ってる場合じゃねぇだろ!あれからずっとここにいたのかよ!?」



「そだよ…ずっと……ずっと待ってた。」





青沢は血相を変えて私を家の中へと運ぶと、タオルを持ってきてくれた。





「ありがとう……。」





青沢の香りがするタオルでびしょ濡れになった体を拭くと、やっと意識がはっきりしてきた。





「ほら。」





ぶっきらぼうに渡された、暖かいホットミルク。





一口飲むと体の中から暖まり、心も温まった。





「やっぱり…青沢って優しいね。」





青沢は心配そうに見ていた瞳を隠すように頭をかく。





「知らねーよ。それより、なんであんな寒いところにずっといたんだよ。」





私は真っ直ぐ青沢の瞳を見た。





「青沢が学校を楽しく思っていないなら、私が楽しくさせる!!」





青沢は呆然とした顔をさせたけど、一瞬にして困惑した顔になる。





< 63 / 84 >

この作品をシェア

pagetop