王子様じゃナイト!
……と、友達の一人―アキちゃんが急に声をひそめてわたしに言った。

「ほら、初日につっかかってきた子、覚えてる?矢場さんっていうんだけど…」


記憶を辿ると、あの怖い顔した女の子か、と思い出した。

「それで、その人がどうしたの?」

「…なんか、琴子と浅木くんの関係を怪しんでるってさ」

「え?関係なんていっても…」

幼馴染。それ以外に関係も何もないのに…


「甘いわ琴子。女は怖いのよぉ?」

アキちゃんはわざとらしくぶるっと震えてみせた。

それをみてけらけら笑っていると、背後から声をかけられた。


「鈴堂さぁん、放課後ちょーっといい?」

「……矢場さん…いいですけど…」

声をかけてきたのは例の矢場さん。少しばつが悪くなり、俯き加減に返事をする。

「ありがとぉ。じゃあまた放課後ねぇー」

矢場さんはにやりと笑うと、何事もなかったように席につき、メイクを直し始めた


「…琴子、ヤバイいんじゃない…?」

「ど、どうしよう……」



転校2週間目にしてピンチ到来?



< 15 / 24 >

この作品をシェア

pagetop