俺様男に心乱れて
階段を下りて行くと、キッチンに明かりが灯っていた。

湯上がりらしいマスターが、テーブルで何かを飲んでいる。

「美緒は寝たのかい?」

「はい、布団に入ったら、すぐに」

「そう? 小枝ちゃんも飲むかい? ビールじゃ寒くて嫌かな?」

「ビールをいただきます。マスターは何を飲んでるんですか?」

「ん? ウィスキーの水割り」

「マスターって、お酒飲むんですか?」

「酒ぐらい飲むさ。妻に死なれてからだけどね」


マスターにビールを注いでもらい、ひと口飲んだ。

「ハァー、美味しい…」

「結構似合うね?」

「何がですか?」

「そのパジャマ。妻と向かい合ってるみたいだ」
< 108 / 190 >

この作品をシェア

pagetop