俺様男に心乱れて
奥のテーブル席に亮介さんと向かい合わせに座った。

「亮介さん、あまり寝てないの?」

「”あまり”じゃない。一睡もだ」

「一睡も? どうして?」

「”どうして”?」

亮介さんはおうむ返しをし、呆れたと言わんばかりに溜息をついた。

「おまえの事が心配だったからに決まってるだろ?」

「え?」うそ…

「無事でいてくれて、よかったよ」

「亮介さん…」

亮介さんは安堵したという感じで、柔らかい表情で私を見つめた。

私は、頭の中が疑問符で一杯になり、たぶん口が半開きになり、バカみたいな顔をしてたと思う。


カチャ

マスターがコーヒーカップをテーブルに置いた音で、私は漸く我に返った。
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