俺様男に心乱れて
「取り敢えずコーヒーをどうぞ。頭がスッキリするように…」

「すみません」

「ありがとうございます」

マスターはコーヒーを置くと、すぐにテーブルから離れて行った。


「の、飲んで?」

「ああ」

亮介さんはカップを両手で持ち、コーヒーをすするとフーッと息を吐いた。

「ねえ、どうして?」

「何が?」

「何がって……」

『どうして私を心配してくれたの?』って聞こうとしたんだけど、もし私が期待した答えと違う答えが返ったらと思ったら、言葉が続かなくなってしまった。


「なあ。昨日の事、そんなに嫌だったか?」

「嫌だったけど、それだけじゃないの」

「と言うと?」

マスターから言われた『素直に話しなさい』の言葉を胸に、私は亮介さんに心のすべてを打ち明ける決心をした。
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