俺様男に心乱れて
「確かに亮から別れ話があったわ。プラトニックでは亮から愛されてない事も分かってる。だから亮に相応しい女性が出来たなら、わたくしは潔く諦めます。でも、あなたなんかじゃ諦める訳には行かないのよ!」

その倫子さんの罵倒が、鋭利な刃物のように私の胸に鋭く突き刺さった気がした。

”あなたなんかじゃ”

その言葉は、私自身が感じている”私なんかでいいのか”という迷いを、他人からも突き付けられた事になる。

「あなた、大学ぐらいは出てるのよね?」

「………」

「どうなのよ?」

「出てません」

「あらまあ。いまどき珍しいわね。ご実家は、どんなお家柄なのかしら?」

「普通の家です」

「聞くところによると、お父様は健康を害されて無職とか。お気の毒ですけど、普通以下じゃございません?」
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