俺様男に心乱れて
翌日。

私は起き出したものの、何もする気になれずにぼんやりしていたら、来訪者を告げるチャイムが鳴った。

またしても黒崎さんだった。

「今度は何でしょうか?」

「北島の奥様、つまり亮介様のお母様が是非あなたにお会いしたいそうです」

「お義母様が? 分かりました。仕度をしますので待ってください」

気が重かったけれど、気力を振り絞ってよそ行きの仕度をした。


黒崎さんが運転する車で、私は初めて北島家を訪れた。想像以上に大きなお屋敷だった。

お義母様は、言葉使いは可笑しくなるほど丁寧だけど、話しの内容は昨夜の倫子さんと同じか、もっと私には厳しいものだった。

私は涙ながらに亮介さんと愛し合っている事を訴えたけど、お義母様は聞く耳を持ってくださらなかった。

そして、「身を引いてくださるわね?」の問いに、私は「はい」と、答えていた。
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