俺様男に心乱れて
マンションの部屋に戻ると、すぐに私は荷造りを始めた。

ボストンバッグに詰められるだけ詰め、あとは亮介さんが処分してくれるだろう。

亮介さんからもらった物は全て置いて行く。ただし、エンゲージリングだけは持って行く事を許してほしい。亮介さんとの思い出として。


メモ帳に置き手紙を書いた。


『亮介さん

留守中に黙って消える事を許してください。
考えたのですが、私には社長夫人なんて性に合いません。
あなたにも迷惑をかけるだけだと思います。
指輪はお金になりそうなのでいただいて行きます。
お元気で。

小枝子』


自分で読み返しても嫌な文章だ。これならきっと亮介さんも呆れて、私の事なんかすぐに忘れてくれると思う。
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