俺様男に心乱れて
「お母さん? 小枝子です」

私は実家の母に電話をした。帰郷を告げるために。

『小枝子? どうしたの?』

「今、仕事中?」

『今日は定休日よ』

「あ、そうだよね。よかった…」

母は近所のスーパーでパートをしていて、今日はそのスーパーの定休日だった。

「あのね、急でわるいんだけど、そっちに帰っていい?」

『それはもちろんいいけど、何かあったの?』

「うん…帰ってから話す」

『いつ帰って来るの?』

「今日」

『あら、本当に急なのね?』

「ごめんなさい」

『いいのよ。じゃあ、今夜は小枝子が好きなおかずを作るわね』

「うん、ありがとう」

『待ってるから、気をつけてね?』

「うん。じゃあ…」

母の声を聞いていたら泣きたくなってしまい、私は急いで電話を切った。
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