俺様男に心乱れて
居間に行くと、いつもの指定席に父が座っていた。

炬燵に体を入れ、綿入れを着て座椅子に座るその姿は、正月に帰った時と同じ、なんだけど…

「ただいま…」

「やあ、お帰り」

「お父さん、なんか…」

「突っ立ってないで、早く座って炬燵に入りなさい。外は寒かっただろ?」

「う、うん…」

いつも通りに父の向かいに座り、炬燵布団をめくって足を入れると、冷えた足先に炬燵の温かさが気持ちよかった。

私は父をジーッと見詰めた。今日の父はいつもと感じが違うと思う。どこが違うんだろう…

「どうした?」

「え? ん……」


母が「寒い寒い」とか言いながら、私の湯呑みを持ってきた。

そして私にお茶を注いでくれた後、父の大きな湯呑みにもお茶を注いだ。
< 159 / 190 >

この作品をシェア

pagetop