俺様男に心乱れて
「黒崎さん、誰が来たんですか?」

黒崎さんは何も言わず、私に会釈すると玄関を出て行ってしまった。

私がサンダルを引っ掛け、黒崎さんを追うように玄関を出ると、目の前にシルバーメタリックのBMWが停まっていた。

そして、私に向かって歩いて来るその人は……

「りょ、亮介さん。どうして…?」

スーツ姿で、怒ったような顔をした亮介さんだった。

「馬鹿野郎」

「え? あ……」

呆然と立ちすくんでいた私の体は、次の瞬間には亮介さんの腕の中に、すっぽりと包まれていた。
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