俺様男に心乱れて
「お父さん…」

「亮介、おまえもおまえだ。どこの誰とも分からん女を連れて来て、小賢しい真似をしおって…」

「いや、小枝子は…」

「黙れ! 当分おまえの顔は見たくない。とっとと帰れ」

「しかし、高島さんにご挨拶しないと…」

「これがそんな状況か? 見てみろ、高島さんの娘を。今行ったら、間違いなく修羅場だぞ」

亮介さんの視線をたどって前方を見ると、ピンクの艶やかなドレスを纏った若い女性が、私達を涙目で睨みつけていた。

「そのようですね」

「高島さんへは私から丁重に謝っておく。表向きは娘さんの帰国祝いという事がせめてもの救いだ。これがもし正式な婚約披露だったら、大変な騒ぎになっただろうな」

婚約披露?
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